第20章 会合
気まずい。
気まず過ぎる。
こっちから、話し掛けて良いのか分からないし。
話し掛けても無視されそうな気すらしている。
「君、さ…。」
黙ったまま数分が経過した頃に聞こえてきた声。
反応を示して顔を見上げた。
「あぁいう時の対処方法、勉強しておいた方が良いんじゃない?今の、自分がどんな立場か分かってるの?」
「急に手を握られる場面なんか、そんなに…。」
「あるデショ。君、一応はタレント。ファンなんですー…なんて、握手求められたりしたらどうするのさ?」
「それは、すぐに離せば…。」
「さっき、離せて無かったよね。」
かなりのお怒りモードみたいだ。
こっちの言い訳なんか聞いてくれない。
この状況はリエーフと噂になったあの時と似ていて。
嫉妬してくれてるんじゃないか、なんて変に期待して嬉しくなってしまう。
それは顔に出てしまったみたいで…。
「怒られてるのに、ニヤつかないでくれる?気持ち悪いカラ。」
まるで、虫でも見ているかのような目で見下ろされていた。
嫉妬してくれてる、なんて勘違いもイイトコロである。
この人にとって、私は相変わらず対象外の女なのだと知った。