第19章 お引っ越し
その場で澤村さんが会社に連絡をして、経費で私の出張費を出す事まで決まり。
その話は纏まってしまった。
用事が済んだから、澤村さんは帰ると思ったけど、何故か部屋の中に留まっている。
「…で、女の部屋に男が何人も入り込んで何をしてたんだ?」
さっきの雰囲気から一転して、少しばかり恐ろしい空気を発する澤村さん。
誰か、いや、多分、全員を警戒している感じだ。
流石に、その空気には勝てず、状況を説明する。
話が終わると、考えるような仕草をして。
「…それは、俺の家じゃ駄目か?」
有り難くない選択肢が増えた。
周りも、反対するように騒ぎだす。
「あぁ、いや。俺は、一般人だろう?事務所関係者やら、トレーナーだとかでテレビに映るお前等よりは、マスコミも慎重になるんじゃないか?
記事にしたら、プライバシーの侵害を訴えても良い訳だからな。」
皆を宥めるように澤村さんが正論を述べた。
一斉に黙ったと思ったら、今度は小さな声で作戦会議するように話している。
そして…。
「りこに手ェ出すなよ。」
「契約書でも作成しましょうか。」
「大熊りこ、何かあったら逃げて来い。」
「その時は、ホテルでも手配するから。」
やっぱり勝手に引っ越し先を決められた。
ホテルが手配出来るなら、初めからそうすれば良いんじゃないの?
寧ろ、本人はそれを希望するよ。
そんな事、強引に話を進める人達の前では言えず。
引っ越しの日取りだとかまで、決められてしまった。