第8章 あなたの笑みを誰も知らない
『…帰ります!』
「…仁がもう少しで出てくると思うからそれまで待っててもらえる?」
「あいりちゃんさ~やっぱり処女?優しくするから俺と時間潰ししようよ」
「斗真…下で拾って来なさい」
イケメンと出会うと良くなことがない
本当に…
ブルブルッ…なぞの悪寒がしてきた…
『すみません…トイレに行ってきます…』
「トイレは階段降りて直ぐですけど…海斗、案内してください」
「え~?俺かよ~」
『階段降りて直ぐですね?大丈夫です!ひとりで行けますから!』
あのVIPルームから出られれば何でもよかった
階段を駆け降りると直ぐに見つけた
下はやはり爆音というか、かなり大きく響く音楽
耳が痛い…
手を洗っていたときだった
「あなたさっきの仁さんと一緒に来た子でしょ?」
待ってましたとばかりに3人の女に囲まれた
「どうやって仁さんをそそのかしたの!?教えなさいよ!」
「階段まで上がったでしょ!?」
「私たちですらまだ上がれてないのに!?」
「ムカつくのよ!」
『……』
怖い…階段を上がれることは特別なんだ…
「黙ってないで答えなさいよ!」
ドンッ
あ…倒れる…
受け身を取ったが倒れるとき何かの角に頭をぶつけてしまったみたいですごく痛い…
「早く出ていきなさいよ!」
「目障りなのよ!」
ガッン!
音と共に腹部の痛み…ピンヒールのヒール部分で蹴られた…
『…ッ…ぅ…』