第8章 あなたの笑みを誰も知らない
強すぎる香水の臭い…鼻が曲がるわ…
「「「……」」」
『で…何で私はここに連れてこられたのでしょうか?』
「何でって言われてもな~仁に連れて行けって言われただけだし~」
「あいりはここがどこだか分かってるんですか?」
何を今更なことを…
『“ルナ“でしょ?』
「ルナはどういう場所か分かりますか?」
『クラブでしょ?噂の?』
「あなたの知っている噂ってどんな噂なんですか?」
『“X”が出没する場所?女の人を拾う場所?』
「知っててここに来たんですか?」
『…仁さんに連れて来られた場所がたまたまここだっただけです。でも、“X“に遭遇する前に帰ります。面倒事に巻き込まれたくないので…』
「「「‥‥‥‥‥‥」」」
「はぁ、さっきの女がなんて言っていたかあなたは覚えていないのですか?」
『お子さまは…早く帰れ…です…』
「その前です。」
『…仁さんが一番…?』
「…入って来たときです!」
『こんにちわ…“X“のみな…“X”!?』
「気付きましたか?あなたが遭遇したくなかった“X”とはもう遭遇してました…」
「あいり、さっき俺の名前も知らなかったからまさかとは思っていたけど…」
「残念だったねあいりちゃん!せっかくの記念に俺に抱かれない?」
『………』