第16章 温厚な人ほど怒ると怖い
〜あいりside〜
予想外の婚約発表に会場を出て行った橘さん
周囲が少しざわめき出す
「今日は婚約発表ってことだったからてっきり…」
「桜宮のご子息の婚約者候補が空席になったということか?」
「お父様!私仁さんと結婚したいわ!」
「こら、聞こえたらどうするんだ!」
「橘さん、学校では威張り散らしていたからいい気味よ」
燕尾服の男に連れられて龍ちゃんの前まで来ると龍ちゃんはすごく簡単にパーティーの終わりを告げた
壇上から降りてきた龍ちゃんと綾香ちゃんに挟まれ
「あいり、俺かっこよかったか?」
いきなり何言ってるの、龍ちゃん?
もしかして、そのために呼んだの?
「私は?私は?」
綾香ちゃんも一緒に聞いてくるし…
『龍ちゃんも綾香ちゃんも素敵だったよ』
とりあえずニコッと笑う
「あいりに褒められたわ!」
きゃー嬉しいと叫びながら私を抱きしめる綾香ちゃん
人前に出たときとこのギャップ
「おい、ばばぁそいつを離せ」
「あ?誰がばばぁよ?」
いつの間にか龍ちゃんと綾香ちゃんの隣にいた仁
綾香ちゃんと睨み合う
ばばぁ?
「親父…ばばぁを止めろ」
「…無理だ」
親父?おや…じ…!!!
『親父ってまさかっ…!?』
「ねぇ、もしかして仁の言ってた好きな子ってあいり?」
「仁!そうなのか!?ならお前の言う新しい婚約者に賛成だ。あいりはいつ嫁にくるんだ!?」
『………っ!!
もしかして…龍ちゃんって…
…仁のお父さん?』