第16章 温厚な人ほど怒ると怖い
綾香ちゃんは黒髪を簪で束ね牡丹が描かれた薄ピンク色の着物
龍ちゃんは素材の良さが一目で分かるスーツ
本当に美男美女でお似合いの夫婦だ
綾香ちゃんはかなり若く見える
この間一緒に買い物に行ったら姉妹に間違えられたくらいだ
龍ちゃんは黒髪で切れ長目
パッと見は少し怖そうだけどすごく優しい
この間は家に居座って学校に遅刻させようとしたたっちゃんを成敗してくれた
いっぱい話したいことがある
しかし周りの目もある
きっと綾香ちゃんにも立場があるはず‥
これ以上目立ってはいけないので離れようとすると
「あいり!おいで!」
いつものように腕を広げ待っている龍ちゃん‥
綾香ちゃんも龍ちゃんも人目を全く気にしない
しかたなく龍ちゃんのところまで走って行くとしっかり受け止めてくれた
「あのご息女はどこの娘だ!?」
「何であの方と?」
「さっき飯島さんとこのご息女と一緒にいた子だろ?もう一度あの子に挨拶しに行くぞ」
「会社がかかってる!あの小娘と仲良くしてこい」
「あそこの奥様は気難しい方のはず‥」
「ちょっとあいりっ!知り合いなの?」
夏実が小走りで駆け寄ってくる
『うん。綾香ちゃんと龍ちゃん。』
「‥っ!」
私の紹介に目を白黒させ驚愕の表情を浮かべる
夏実の綺麗な顔が‥顎が‥
「ゴホンッ、はじめましてあいりの友人の飯島夏海です。」
はっと顔を整え丁寧に挨拶をする夏海
「ああ、君が夏海ちゃんか。あいりから話は聞いてるよ。これからもあいりをよろしく頼むね」
「は、はいっ!もちろんですっ!」
珍しいな~夏海がこんなに緊張するなんて
龍ちゃんイケメンだからかな?
夏海イケメン大好きだし‥
「それよりあいりはどうしてここに?」
『えっと…色々あって…』
好きな人に会いに来たとか言いづらい…