第16章 温厚な人ほど怒ると怖い
ザワザワザワ
「ねぇ、あいり‥。」
『うん、多分来たんじゃない?』
学校や夜の繁華街、セレブたちのパーティーだろうと対して変わらない
女性特有の黄色い声はないもののパーティー会場全体の雰囲気がガラッと変わった
「やはり格好いいですわ!」
「お父様!あの方と私結婚したいですわ!」
「あそこのご子息は何人だったかな?」
「桜宮様は今日も夫婦揃ってご出席ね」
「いつ見てもお美しいわ」
「桜宮グループの今年の収益がまた上がったんですって」
「今日のパーティーのメインは桜宮様ですわよね?」
「何かあるのかしら?」
人垣ができていて姿は見えない
でもこの先に仁がいるはず
桜宮の夫婦ということは仁の両親もいるのだろう
あの仁を育てた親‥ちょっと気になる
ひょこっと人と人の間から顔を出す
‥がやっぱり見えない
『夏海‥見えない』
「あとあんたが20センチくらい身長伸ばせば見えるわよ」
『肩車してくれる?』
「目立ちたいならするわよ?きっと明日の学校の噂は私たちで持ちきりね。桜宮のパーティーで『やっぱり大丈夫です‥』‥‥あらそう?」
肩車作戦は不発
次の案を考え何か使えるものがないか当たりを見回す
‥‥‥えっ!?
『綾香ちゃん!?龍ちゃん!?』
こんなところに知り合いがいた
「あら?あいり~!」
向こうも気づいてくれる
「あいり会いたかったわ~!」
『私も!』
パーティーのど真ん中で綾香ちゃんとハグをした