第16章 温厚な人ほど怒ると怖い
一歩ずつ前に進む
見えてくるきらびやかな世界…
ザワザワ
踏み出すごとに騒がしくなるのは隣の彼女のせい
夏海曰く滅多にパーティに出ない夏海が参加しているため
まだ婚約者がいない婿の座を狙い売り込もうとする厄介な奴等が騒いでいるとのこと
この場所は一見キラキラ輝くような世界
しかし、本当はドロドロとした欲が蠢く汚い世界
ザワザワザワザワ
「飯島様の隣の方はどこのご令嬢かしら?」
「飯島様と並んでいらっしゃるということは結構上の方よね?」
耳障りな声…
「こんばんは夏海さん」
「お父様によろしくお伝えください」
「是非うちの愚息と今度食事でも…」
「お久しぶりですわ」
「伝えておきますわ」
「ええ、今度ね…」
誘いを華麗に交わす夏海…
美しく品がある彼女は一際目立っていた
「夏海さんお隣の方はどなた?」
「‥仲の良い友人ですわ」
「夏海さんのご友人でしたか~」
『こ‥こんばんは‥』
私は紹介されたときだけ会釈
夏海の友人ってだけで結構な人に挨拶された
「疲れるわ…帰りたい…」
『ちょっ‥!夏海が誘ったんでしょ!夏海が帰るなら私も帰るからね』
「‥嘘よ、せっかく面白そうなことが起こるかもしれないのに帰るのはごめんだわ」
『私で楽しむな!』