第118章 ひとつ屋根の下
潤「ありがとうございました」
喫茶店に来店していた最後の客が帰り、今日の営業も終了した
智「はぁー…疲れた…」
潤「お疲れ様。片付けの前にちょっと休憩しようか。お茶でも入れるよ」
雅「あ、潤。俺昨日買ってきた茶菓子があるんだ」
和「では私はここを少し片付けますね」
潤と雅紀が厨房に行き、俺と和也で店内を少し片付けていたら
<カランカラン>
あれ?さっき看板替えたよな?
和「すみません…今日は…」
入ってきた客に声を掛けようと和也が近付くと、そのまま固まっているようだった
そして俺は店内に入ってきた人物を見て言葉を失った
すると和也が暫くして
和「じ…潤くん!雅紀兄さん!!」
雅「…何?和」
潤「どうしたんだ?和…」
お茶を持って店内に入ってきた2人も、その人物を見て
<ガシャーーーン>
持っていたカップを床に落としてしまった
「…ただいま」
雅「…翔…ちゃ…ん…」
そこには車イスに座った翔くんがいた
智「翔くん…」
和「翔兄さん…本当に…?」
翔「こんな状態だけど、足はちゃんとあるよ」
和也は口に手をあてて涙を流し、俺も溢れ出る涙を止められなかった
潤「翔兄さん!」
そして潤はそのまま走って翔くんに近付き抱き付いていた
翔「潤…心配かけてごめんな…」
そう言って潤の身体を抱き締め
潤「翔…兄さん…翔兄さん…」
潤はそんな翔くんの胸の中で泣いていた
雅「翔ちゃん…」
雅紀も翔くんの前に立つと、翔くんは何も言わずに両手を広げた
すると雅紀は翔くんの身体を車イスから立たせてそのまま強く抱き締めていた
翔「雅紀…会いたかった…」
雅「翔ちゃん…翔ちゃん!翔ちゃーーーん!!」
あの日から涙を流さなかった雅紀が今まで聞いた事もない程の大声で泣いていた