第114章 思わぬ出会い(10)
父「…昨日洋子から聞いた…すまなかったな…何の関係もないお前を巻き込んでしまって…」
すべて話してくれたんだ…昨日俺達が聞いた話を…
翔「…正直思ってました…何で自分は捨てられたんだろう…本当の両親はどんな人なんだろうって…」
父「・・・」
翔「本当は産みの親に会ったら言ってやろうと思ってたんです。『自分達の都合で子供を捨てるな!捨てるくらいなら何で産むんだよ!』って…すみません、気を悪くさせて…」
父「いや…」
父さんは俺の言葉に微笑んではいたけど、少し悲しそうな顔もしていた
翔「でも、会えて良かった…父さんは俺を捨てたんじゃない…母さんも俺の事を最期まで愛してくれてた…それが解ったから…」
父「翔…私の事を父と思ってくれるのか?」
翔「もちろんです。例え一緒に暮らしてなくても、あなたは俺の父さんです」
父「ありがとう…翔…」
そう言って父さんは涙ぐんでいた
父「育ててくれたご両親に感謝だな…こんなに立派に育ててくれて…」
翔「はい、松本の両親には本当に感謝してます。それに大野の…あ…」
そういえば、聞きたい事があったんだ
父「…どうしたんだ?」
翔「あの、ちょっと聞きたい事が…」
父「何だい?」
翔「先日伺った時に、僕と一緒にいた雅紀の事なんですけど…雅紀の事ご存知だったんですよね?」
父「…そうだな…」
翔「でも和也の兄弟は、兄の智だけではないのかって言ってましたよね?それに雅紀は和也の従兄弟になると知ってたし…」
俺の問いかけに、父さんは神妙な顔をしていた