第112章 思わぬ出会い(8)
翔「自信なんてものは経験を積んでいけばついてくるし、修くんは俺なんかより内情に詳しいんだから、修くんの方が…」
修「あ、あの…」
翔「ん?」
修「修って呼んで下さい…半分でも兄弟なんですから…」
そう言って少し照れたような顔をしてうつ向いていた
翔「…ありがとう…修…」
修「…僕…嬉しいんです…兄さんがずっと欲しかったから…優しそうな人で良かった」
雅「その代わり怒るとめちゃくちゃ恐いよ?」
翔「余計な事言うなよ!」
雅「あ痛っ!酷い翔ちゃん!そんな物で強く殴んなくても(涙)」
…近くにあったお盆で殴ったらやっぱり痛いか…
修「あの…兄さん…」
翔「え?」
修「僕達と一緒に暮らしてもらえませんか?父さんもきっと喜びます」
翔「…ごめん…その話は社長にはすでに伝えたんだ…一緒には暮らせないって…」
修「…え?」
俺の言葉に修は驚きの表情をしていた
翔「修の気持ちは嬉しいよ…でも、きっと修のお母さんが反対するから」
修「大丈夫です!母さんは僕が説得しますから!お願いします兄さん!」
潤「・・・」
修…そこまで俺の事を…
俺が本当に社長の息子かどうかもはっきりしないのに…
俺は正面に座る修の手を掴んで
翔「ありがとう…でも、ごめん。俺は今『大野翔』なんだ…『櫻井』に戻るつもりはないから…」
修「そんな…」
修は俺の言葉が余程ショックだったのか、ポロポロと泣き出してしまった
その後、落ち着いてから修は帰っていった