第112章 思わぬ出会い(8)
~翔side~
翔「…事情、聞かせてくれるかな…?」
片付けもそこそこに、俺達は修くんを連れて家に戻り話を聞くことにした
修「先日、父と母が話をしていたのを偶然聞いたんです…父には以前付き合っていた人との間に子供がいて、その人が訪ねて来たと…でもその人は母が幼い時に神社に置き去りにしたと…」
翔「…お母さんは何て?」
修「何も…ただ父の話を黙って聞いてました…でも最後に母は『何故ヨウコが姿を消したのか考えて下さい』って…けど母さんが姿を消すっていうのがよく解らなくて…」
そうか…ただ聞いただけでは解らないよな…母さんも社長婦人も『ヨウコ』だから…
智「その事と翔くんが櫻井コンツェルンを継ぐ事と関係があるのか?」
修「…父さん、それ以降元気がないんです…ずっと考え込んでいるようで…きっとお兄さんの事を考えているんだと思います…」
潤「何でそうだと?」
修「昨日ボソッと言ったんです…『翔に何か罪滅ぼしが出来ないか…』って…」
罪滅ぼし…俺の為に…
修「今まで一緒にいられなかったから、父さんお兄さんと一緒に居たいんだと思うんです…僕もお兄さんと一緒に居たいし、僕…櫻井コンツェルンを継ぐ自信がないんです…だから…」
翔「…自信なんてなくても良いんじゃない?」
修「…え?」
翔「あれだけ大きな会社なんだから、自信なんてなくて当然だし、俺だっていきなり継いでくれって言われても返事はNOだよ」
修「・・・」