第99章 突然の来訪者
翔「俺は…大野になりたかった訳ではありません…家族になりたかったんです…」
憲「家族…?」
うつ向いたままだった翔兄さんは、そう言って顔を上げ憲治さんを見据えていた
翔「俺は孤児です…3才の時実の親に捨てられた所を潤の両親が引き取って育ててくれたんです…」
憲「・・・」
翔「松本の両親が亡くなって、両親の代わりに潤を立派に自立させること…それがここまで育ててくれた恩返しだと決めました…その為に働いて…暫くして智くんが訪ねてきて一緒に住もうと言ってくれて…潤の夢も叶えてくれました」
智「翔くん…」
翔「潤が自立したら俺は何処か遠くに行こうと思っていたら、俺も大野の籍に入っていた事を知ってそのまま本社に行き、憲治さんにお会いしたんです」
翔兄さん…そんな前からこの家を離れようとしてたんだ…
翔「大野の籍から外れて、何時でも離れられると思っていたけど…出来なかったんです…」
憲「出来なかった?」
その時の翔兄さんはうっすらと瞳を濡らしていた
翔「…皆と生活して…本当の兄弟の様に接してくれて…欲が出たんです…潤の事まだ見守っていたい…皆とも離れたくないって…そんな時また大野の籍に入れてもらって…家族として迎えてもらえたのが嬉しくて…」
憲治さんは翔兄さんを見つめたまま静かに話を聞いていた…と思ったら
憲「すまなかった!!」
翔「…え?」
突然頭を下げて謝罪してきた…