第94章 譲れない気持ち
~翔side~
翔「…凄いな…」
俺は何でも屋の事務所で今まで扱った依頼調書を見ていた
俺と潤がここに来て暫くして開業したって聞いたけど
翔「それでも依頼数が多い気がするけど…」
でも、店名に入れてるだけあって本当に何でもやってるんだ…
修繕に掃除、展覧会等の準備…ホームパーティー…
翔「雅紀への依頼の飼い犬の散歩って、ほとんど同じ人が多いな…特に柿本さんて人…」
雅紀優しいから、やっぱり動物に好かれるんだろうな…
<コンコン>
翔「あ、はい!」
うわっ!お客さんだ!今智くんいないのに…
とりあえずお話だけでも聞いて…
岡「よう!」
翔「あ、あなたは…」
ドアを開けて入ってきたのは、昨日街中で出会った人だった
確か名前は…
翔「え…っと…岡田さん…ですよね?」
岡「お!名前聞いたのか?」
翔「はい、智くんから…すみません昨日は失礼な事して」
岡「良いって、事情が事情だからな…本当に覚えてないんだな…」
翔「…はい…」
すると岡田さんは俺に近づいてそっと顔に手を添えてきた
岡「…雅紀との事も忘れたんだよな…?」
翔「え?」
雅紀との事…?
岡「いや、何でもない。なあ、良かったら今度一緒に飯食いに行こうぜ」
翔「はぁ…」
岡「おっと、もうこんな時間か…じゃあまたな翔」
翔「あ、はい」
そう言って岡田さんはあわただしく出ていった
…何なんだろう…雅紀との事って…