第94章 譲れない気持ち
~雅紀side~
雅「おはよー…」
潤「あ、おはよう…って雅紀兄さん大丈夫?」
雅「ん?大丈夫だよ」
そう言うと、和が俺の顔を覗き込んで
和「…目、真っ赤ですね。眠れなかったんですか?」
雅「んー…ちょっとね」
ちょっとどころか、正直一睡も出来なかった
あの時…俺の手を振り払った時の翔ちゃんの顔…本気で怯えていた…
翔ちゃんの恋人だなんて言いながら、俺は翔ちゃんの事守ってやる事すら出来ないんだ…
翔「おはよう」
智「翔くん、おはよう」
起きてきた翔ちゃんは俺の顔を見ると、真っ直ぐ俺の方に来て
翔「雅紀!昨夜はごめん!」
雅「翔ちゃん…」
…もしかして翔ちゃん昨夜の事気にしてたの?
翔「雅紀…俺の事心配してくれてたのに…」
雅「大丈夫、そんなに気にしなくて良いよ翔ちゃん。こんなの何時も和から色々言われるから慣れてるもん」
和「…意味もわからず人の名前を出されたのは心外ですが、この人は多少の事でへこたれる事はないので大丈夫ですよ翔兄さん。って言うか、言われてる意味すら解ってない事もありますがね」
雅「…何もそこまで言う事ないじゃん…(涙)」
…何時もの和の毒舌に逆にへこんでしまった…
翔「…雅紀…ありがとう」
雅「翔…ちゃん…」
翔ちゃんは俺に向かって微笑んでいた
…今までと変わらない綺麗な笑顔で…
雅「うん…俺の方こそ…ありがとう」
そうだ…翔ちゃんは記憶がなくて不安でいっぱいなんだ…
だから俺がしっかりしなくてどうするんだよ!
俺が…俺達が支えてあげなきゃ!