第92章 年の瀬の贈り物
和「…雅紀兄さんのお母さん、初めてお目にかかりますが…やっぱり似てますね雅紀兄さんに…優しそうな目元なんて特に」
中に入っていた写真はまだ赤ん坊の雅紀を抱いた雅紀の父ちゃんと母ちゃんだった
そして一緒に入っていた通帳には
雅「…苦しかっただろうに…俺のためにこんなに…」
中を見ると本当に少額ながらコツコツと貯金されていた
…亡くなる寸前まで…
智「良かったな…雅紀。この箱が見つかって」
雅「…ごめんね母ちゃん…」
そう言って何故か雅紀はまたその箱を押し入れの奥に直し込もうとしていた
智「お、おい雅紀!何で…」
雅「ダメなんだ…これがじいちゃんの目に触れたら…」
雅紀はじいちゃんを気にしてまたその箱を目の届かない所に隠そうとしていた
俺が止めようと雅紀の腕を掴んだその時
翔「おい潤そっち持って!これ結構重い!」
潤「了解!」
翔くんと潤がその箱を再び押し入れから引っ張り出した
雅「し、翔ちゃん潤!それは…」
翔「バカ!何でこんな大事な物隠すんだよ!」
雅「え…だってじいちゃんが…」
翔「…なら何で一度この箱を探したんだ?」
雅「…それは…」
言い辛そうにしている雅紀の替わりに和也が
和「…ここに置いといて何かの拍子にお爺さんに知られたくないと言って、貸倉庫に持っていこうとしてたんです」
すると翔くんは雅紀の頬に手をそっと添えて
翔「雅紀…お前の気持ちは解る…でもな、あれはお前の大事な宝物なんだ。誰にも気兼ねする事なんてない。例え大野会長でもな」
雅「翔ちゃん…」
雅紀は翔くんの言葉を聞いてまた涙を流していた