第92章 年の瀬の贈り物
智「雅紀…もしかしてその手紙雅紀の母ちゃんからか?」
雅「…うん…」
そう言って雅紀はその手紙を俺の前に差し出してきた
智「え?見て良いのか?」
雅紀は言葉なく頷いていた
俺は雅紀から手紙を受け取り中を読み上げた
智『…雅紀へ。貴方がこの手紙を見る時はもう私は側にいないのかもしれません…雅紀…貴方には私達のせいで辛い想いをさせて本当にごめんなさい。お父様からお父さんとの結婚を反対され、別の男性と婚約させられそうになり、もうこれしかないと兄さんに協力してもらいお父さんと駆け落ちをしました…』
潤「…やっぱり雅紀兄さんのお母さんも母さんと同じで…」
…父ちゃん…自分が出来なかったから雅紀の母ちゃんを…
智『駆け落ちしてきたけど生活も苦しく、まだ子供の貴方には色々と我慢ばかりさせてきたけど、優しい貴方は文句も言わずに何時も私の事を気にかけてくれ…どれだけ貴方に救われたか解りません。私には勿体ない宝でした』
和「…昔から変わりませんね…雅紀兄さん…」
雅「…そんな事…」
智『いつまでも貴方といたいけど、近頃私の体調も思わしくなく何時までもつか…お父さんもいなくなって貴方一人を残して逝くのは心苦しいです…何かの足しになればと思い本当に少しづつですが貯めたお金を残しておきます…雅紀…最後にひとつだけ…私の子供に産まれてくれてありがとう…貴方は私の永遠の天使です』
体調が悪い中書いたからか字が震えていたけど、雅紀への愛情が溢れる手紙だった…