第92章 年の瀬の贈り物
~智side~
雅紀が『相葉』から『大野』になる前…つまり雅紀の両親が亡くなって父ちゃんに引き取られる前の事…
雅紀があえて言わなかったから俺達も翔くん達に話してなかった…
潤「…何でこれだけ押し入れに入れてたのか聞いても良い?」
雅「別に良いよ。俺の父ちゃんと母ちゃんが駆け落ちしたのは知ってるよね?」
翔「…うん…」
雅「じいちゃんに反対されて駆け落ちしたから、やっぱり生活は苦しくてさ…父ちゃんは建設現場で働いて、母ちゃんも今まで働いた事なかったけど近くのスーパーで働いてた」
翔「え?じゃあお前はどうしてたんだ?」
雅「俺達が住んでたアパートの大家さんが良い人で、自分の子供を見るついでにって俺の事も預かってくれたんだ」
雅紀は箱の中にあったアルバムを手に取り懐かしむような顔をして話していた
雅「生活は苦しかったけど毎日は楽しかった…父ちゃんと母ちゃんがいて…毎日笑い声が絶えない毎日だった…」
智「雅紀…もう…」
雅「大丈夫だよ智兄…ありがと」
そう言って雅紀は微笑んでいたけど…何でこんな時まで笑顔でいられるんだよ…
雅「そんなある日、俺が3才になる前に父ちゃんが工事現場から落ちて死んだんだ」
潤「…え?」
雅「で、母ちゃんは俺を養うために朝から晩まで毎日働いた…そのせいで身体を壊して…ある朝俺が目を覚まして寝てる母ちゃんを起こそうと揺すったけど…目を覚まさなかった…」
翔「…それって…」
…父ちゃんから聞いた話ではもうその時点で亡くなって数時間が経っていたらしい…