第90章 heartbreak
その後、翔ちゃんは退院祝いで並んでいた潤の作った料理を見て感動していた
でもその食事中、翔ちゃんはずっと喋らず顔も伏せがちだった
和「翔兄さん…体調が悪いですか?」
翔「え?あ、そうじゃないけど…」
智「どうしたの?」
翔「…俺…本当に『大野』になったのかな…って…」
潤「まだ信じられない?」
翔「ん…だって大野グループっていえば世界有数の大手グループだぞ?俄には信じられないよ…」
まぁ…普通ならそう思うかもな…
雅「そうだ!翔ちゃん、ちょっと来て!」
翔「え?あっ!」
俺は翔ちゃんの手を引きリビングを出た
雅「翔ちゃん、この部屋のドア開けて」
翔「え?」
翔ちゃんは少し戸惑いながらもその部屋のドアを開けた
翔「…ここは…?」
雅「翔ちゃんの部屋だよ」
翔「え?俺の…?」
俺は翔ちゃんが使っていた部屋を見れば信じてくれると思い、翔ちゃんを連れてきた
翔ちゃんは部屋に入ると辺りを見回していた
翔「…俺の部屋にしては片付いてるようだけど…」
雅「そりゃあ潤が頑張って片付けてくれたからだよ」
翔「う…」
そう指摘されたのが恥ずかしかったのか、翔ちゃんは顔を赤くしていた
翔「…あっ!」
雅「?」
翔ちゃんは突然叫んだと思ったら、机の引き出しを開けて何かを確認しだした
翔「…どうしよう…俺なら多分ここらに…」
雅「え?何が…?」
潤「絵本ならそこの棚だよ。翔兄さん…」
翔「え!?な、何で…!」
…あ…そうか…翔ちゃんあの絵本机に隠してたんだ…