第90章 heartbreak
潤の時と同様、翔ちゃんの脳に異常はなかった
恐らく精神的な事が原因ではないか…と
それを聞いた和が
『海里から受けた暴行が余程翔兄さんの精神に恐怖を与えたんでしょうね…多分、後継者問題が原因で起こった事だったから、大野グループに関係する事を記憶から削除したんだと思います…』
…って言っていた…
…あの時…病院で意識を取り戻した翔ちゃんは俺達の顔を見て、怯える事はなかったけど…
翔『…どなたですか?…潤の友達?』
その言葉を聞いた時、俺は頭が真っ白になった…
俺達と過ごした数年間も…俺の事も…何もかも忘れてる…
幸い俺達と出会う前の記憶は残っていたから、潤が付き添っていることで翔ちゃん自身、それほど不安な事はないみたいだけど…
潤「雅紀兄さん…大丈夫?」
雅「え?あ、ごめん大丈夫だよ」
翔「雅紀くん…」
ダメだ。俺がこんな暗くなってたら翔ちゃんが気にする!
雅「ごめんごめん!家入ろっか!それから翔ちゃん、俺の事は『雅紀』で良いよ…弟なんだから」
翔「…うん…」
今は俺の事より翔ちゃんを早く元気にさせないと!
俺達は翔ちゃんを連れて家に入った
雅「ただいまー…」
<パーーーン!>
雅「うわっ!」
翔「え!どうしたの!?」
俺が家に入った途端、玄関で恐らく待ち伏せてた智兄と和がクラッカーを鳴らしていた
和「あー!!雅紀兄さん!何であなたが先に入って来るんですか!折角翔兄さんの退院祝いに鳴らしたのに!!無駄になったでしょ!」
勝手に鳴らしといて無駄って…
なら最初から言っといてよ!(怖くてそんな事和には言えないけど…)