第90章 heartbreak
~雅紀side~
あの事件から数日が経ち、本日翔ちゃんは退院出来るようになったので俺と潤で病院に来ていた
怪我の方は大丈夫との事なんだけど…
<コンコン>
翔「はい」
潤「翔兄さん、準備出来た?」
翔「潤、OKだよ」
潤「退院手続きも終わったから行こうか」
雅「荷物はこれで全部?じゃあ俺これ持っていくから」
俺が大きめのカバンを持つと翔ちゃんは突然慌て出して
翔「え?あ、それは重いから俺が自分で…!」
雅「大丈夫!翔ちゃんはゆっくり来てくれたら良いから」
翔「…あ、ありがとう…」
そう言って翔ちゃんは申し訳なさそうに俺にお礼を言ってきた
潤「じゃあ翔兄さんはこれ持って。身体キツくない?」
翔「お前まで…もう大丈夫なんだからこんな小さな荷物じゃなくても持てるのに」
潤「何言ってるの。ここで無理したら元の木阿弥じゃない」
そう言いながら後ろから話声が聞こえていたけど、俺は複雑な心境で聞いていた…
俺は荷物を荷台に乗せて2人が車に乗り込んだのを確認して発進させた
雅「翔ちゃん、キツかったら寝てて良いからね」
翔「あ、大丈夫…って…え?ど、どこ行ってるの?」
潤「…大丈夫…家に向かってるから」
翔「家って…」
雅「・・・」
車を走らせ暫くして、自宅に辿り着いた
雅「着いたよ翔ちゃん…ここが自宅だよ」
翔「…え?な、何で!?俺の家はこんな大きくない!」
翔ちゃんは自宅の前でかなり動揺していた…
…そう…あの日…病院で意識を取り戻した翔ちゃんは、ここ数年の記憶と潤以外…つまり、智兄と和…そして俺の記憶も無くしていた…