第89章 望まぬ指令(4)
翔兄さんの身体をベットに寝かせていたら、横から和が
和「潤くん…使って下さい…」
とハンカチを手渡してくれた
…俺、いつの間にか泣いてたんだ…
潤「…何で翔兄さんばかりこんな目に遭わないといけないんだよ…」
和「潤くん…」
潤「実の親に捨てられて…俺のために自分を犠牲にしてまで働いて…」
智「・・・」
潤「雅紀兄さんに出会えて、やっと幸せになれると思ってたのに…翔兄さんが何したって言うんだよ!」
雅「潤…」
わかってる…こんなのただの八つ当たりだ…
俺は目の前で苦しんでる翔兄さんを助ける事が出来なかった…
誰も責めることなんて出来ない…
責められるべきは…俺なんだ…
智「…潤。翔くんに謝れ」
潤「…え?」
智兄さんが突然口を開いたと思ったら…翔兄さんに…謝れ…?
智「お前は翔くんが幸せじゃないと思ってるのか?じゃあ翔くんの幸せは何だ?」
潤「…それは…」
翔兄さんの幸せ…?
智「確かに翔くんは俺達よりずっと辛い過去を背負ってきたかもしれない…でも翔くん以前言ってたよな…お前がいたから頑張れた…お前が翔くんの生き甲斐だったんだって…」
その言葉…あの時…翔兄さんから全てを打ち明けられた時に聞いた…
智「お前はそんな翔くんの生きざまを否定するのか?じゃあ翔くんのやって来た事は無意味だったって言うのかよ!」
潤「違う!」
俺は翔兄さんの生き方を否定するつもりはない!