第89章 望まぬ指令(4)
あの後、俺と翔兄さんは病院に運ばれ検査を受けた
俺は右手の骨にヒビが入っていたけど、私生活に影響はないとの事だったから安心した
ただ翔兄さんは肋骨にヒビが入っていたのと、全身打撲が酷くて暫く入院になった
それに…心に受けた傷は…きっと…
俺は薬が効いて眠っている翔兄さんの側に座っていた
和「潤くん…翔兄さんには俺達が付いてるから…」
智「お前だって怪我してるんだ…帰って休んでろ」
皆の気遣いは嬉しかったけど、俺は翔兄さんの側を離れたくなかった
潤「…ここにいる…」
俺は翔兄さんの手を軽く握った…
すると微かに俺の手を握り返してきた
潤「翔兄さん!?」
雅「え?翔ちゃん!?」
俺は立ち上がり翔兄さんの顔を覗きこんでいたら、うっすらと目を開けた
潤「翔兄…」
翔兄さんは俺達の顔を見ると、目を見開き顔色を変え…
翔「…や…いやっ!嫌だーーーっ!!」
雅「翔ちゃん!!」
翔兄さんは突然怯えだし、暴れだした
智「翔くん落ち着いて!!大丈夫だから!」
翔「やあっ!離して!いやーーーっ!」
潤「翔兄さん!!」
俺は怯える翔兄さんの身体を強く抱き締めた
潤「翔兄さん!俺だよ!潤だよ!」
翔「…じ…じゅ…ん…?」
暫くすると翔兄さんは少し落ち着いてきた
潤「そう…俺だよ…もう大丈夫だから…」
すると翔兄さんは突然思い出したように
翔「潤!手は!?手は大丈夫なのか!?」
…何でこんな時まで俺の心配するんだよ…
潤「うん…大丈夫だよ」
翔「大…丈夫…?良かっ…」
俺の言葉を聞いて翔兄さんはそのまま意識を手放した