第88章 望まぬ指令(3)
雅「…ごめん…何か言葉が出なくって…」
翔「何謝ってるんだよ…俺なら大丈夫だから…」
そんな事言ってるけど、翔ちゃんはスッキリとした顔をしていなかった
雅「…翔ちゃん…家族に会いたくないの?」
翔「…今さら本当の家族に会ったって何になるんだよ…俺を捨てた両親より育ててくれた松本の両親の方が俺の家族だし、今は智くん達がいる…それに会長は何故かその事は教えてくれなかった…会おうにも無理なんだよ…」
翔ちゃん…もしかして本当は会いたいんじゃ…
雅「あ、あのさ…智兄に頼めばジイチャンから話は聞けるかも…」
すると翔ちゃんは首を振り
翔「会長から真実が知りたければ、明日からでも大野グループ系列の支社に入れって…」
雅「な、何それ!?まるで脅迫じゃない!」
ジイチャン酷すぎる!!
翔「俺は智くん達を差し置いて大野グループ会長になるつもりなんてないから、この話は断った…まぁ…さっきも言ったけど、今さら会いたいとは思わないからな…」
雅「翔ちゃん…」
そう言って翔ちゃんは少し微笑んだ
翔「…でもそれより解らないのは、何故この後継者問題に俺の出生が関わってくるのか…」
雅「あ、それさっき智兄も言ってた。もしかすると翔ちゃんの両親が大野グループに関係してるかもって…」
翔「その可能性はあるけど…さっぱり解らない…」
雅「でも翔ちゃんが誰であれ、俺の大好きな翔ちゃんに変わりないけどね」
すると翔ちゃんは顔を真っ赤にして
翔「ば、馬鹿!何言ってんだよ!」
って照れながら殴られちゃった…