第86章 望まぬ指令(1)
翔「潤…昨日の話、納得いくか?」
潤「出来るわけないよ。あまりにも突然すぎるし、大体何の根拠があって俺達が候補になる訳?」
翌日、俺と潤は喫茶店の営業準備をしながら智くんから話があった後継者問題について話していた
翔「昨日智くんから聞いたんだけど、お前は喫茶店の経営成績が良いからその腕を買われたってことらしい…大野グループを継がなくても、行く行くは系列のホテルやレストランのオーナーにしたいって」
潤「喫茶店の経営が良いのは兄さん達が協力してくれてるからだよ!俺一人の成果じゃない!」
翔「大野会長はそう思ってないみたいだけどな…」
潤は解るんだ…例え半分でも智くんと血の繋がった弟なんだから…
でも…
翔「解らないのは俺だよ…」
潤「何で?正直俺達の中では一番翔兄さんが適任だと思うけど?和もそう言ってたし…」
翔「馬鹿言うなよ。昨日も言ったけど、俺は大野家とは何の血縁関係もない孤児だぞ?そんな得体の知れない奴を何で後継者候補にするんだよ」
潤「やっぱり以前いた会社での成績が良いからじゃない?」
翔「なら何で母さんは大野さんとの結婚を反対されたのに俺はOKなんだよ。母さんだって天涯孤独だからって事で反対されたんだろ?それこそ矛盾してるよ」
潤「あ、そっか…」
本当に一体何考えてるんだ?大野会長は…
<カランカラン>
え?まだ早くないか?
潤「すみません…まだ準備中なんですが…」
「…フーン…いかにも庶民って感じのちっちゃい店だな…」
潤「…は?」
何だ?この男…いきなり失礼な奴だな