第86章 望まぬ指令(1)
智「ただいま…」
その日の夜遅く、憔悴しきった智くんが戻ってきた
潤「智兄さんお帰り…ご飯食べる?」
智「ああ…後でもらうよ。その前に…皆良いか?」
和「私と雅紀兄さんも聞いて良いんですか?」
智「ああ、出来れば皆に聞いてもらいたい…」
…何だろう…一体何があったんだ…?
雅「智兄、ジイチャン何て?」
智「…翔くんと潤も、今後大野グループ後継者として経営に携わってもらう…って…」
…は?
雅「え?ど、どういう事?」
智「つまり翔くんと潤も俺や和也同様、大野グループ次期会長になるかも…って事だよ」
翔・潤「はあーーー!?」
そんなバカな!!何で俺と潤が!?
潤「ち、ちょっと待ってよ智兄さん!何で翔兄さんと俺が!?俺達大野の籍には入ってるけど血縁関係はないよ!?それに俺の母さんは智兄さんのお父さんとの結婚を反対されたんだよ!?なのに!」
智「前にも言ったけど、ジイチャンは才能があればそんなの関係ないんだよ」
和「まぁ…大野の籍に入ってるって事では、海里(かいり)よりは良いですよね」
翔「…海里?」
雅「もう一人の後継者候補で、俺達の従兄弟」
ああ…確か和也の産みのお母さん方の…
潤「俺には無理だよ!だいたい何で俺が?」
…そうだよな…智くんと半分血の繋がった潤はともかく…
翔「智くん…何で俺も?俺は所謂孤児だよ?いくら籍に入ってるからって、そんな身元不明な俺を何で…」
智「多分学歴やら何やらを調べたんだろ。翔くん前の職場ではかなり有能だったんだろ?」
だからって…やっぱりあまりにも無謀すぎる…
俺には智くんの言うことが腑に落ちない事ばかりだった…