第76章 忘れられぬ想い(6)
翔「…もう二度と…雅紀に会えないと…思ってた…」
雅「翔ちゃん…」
やっぱり…家を出るつもりだったんだ…
翔「本当は…ずっとあの家にいたかった…でも…きっと雅紀は俺の顔も見たくないと…思って…」
雅「・・・」
翔「どんなに嫌われても…雅紀の側にいたかったけど…俺が居ることで…雅紀が苦しむのは…見たくなかった…」
雅「そんな事ないよ!」
翔「雅紀…」
俺は泣きながら、苦しそうに話す翔ちゃんの身体を強く抱き締めた
雅「翔ちゃん…ごめん…俺のせいで翔ちゃんの事、こんなに傷つけた…謝っても謝りきれない…」
翔「雅紀…お前が謝る事なんて…ないよ…悪いのはお前の忠告を聞かなかった…俺なんだから…」
雅「それは違うよ…俺は翔ちゃんがまた傷付くのが怖くて止めたんだ…でも、翔ちゃんはあの依頼を受けた…」
翔「・・・」
雅「けどそれは、翔ちゃんが葛城さんから受けた恩を返したいから…だから受けたんだよね?」
俺の問いかけに、翔ちゃんは軽く頷いた
雅「俺はそんな事思いもしないで、ただ翔ちゃんが自分の言った事を聞いてくれなかったってだけで拗ねて、翔ちゃんから逃げたんだ…」
翔「雅紀…」
雅「馬鹿だよね…本当に翔ちゃんの事を思うなら、俺が盾になって守るくらい言えば良いのに…」
すると翔ちゃんは俺に抱きついてきて
翔「そんなの…俺が嫌だ…」
雅「え?」
翔「俺の盾になるなんて…絶対に…嫌だ…」
雅「翔ちゃん…」
俺達はそのまま強く抱き締めあった