第75章 忘れられぬ想い(5)
~雅紀side~
翔ちゃんから電話が入って数十分後、和から聞いた葛城さんのマンション前に着き、入り口で部屋番号を入力して呼び出しを押した
葛『…はい』
雅「大野何でも屋の雅紀です」
葛『・・・』
暫く無言の後、入り口が開いたのでエレベーターで上がった
<ピンポーン>
葛「・・・」
雅「翔ちゃんを迎えに来ました」
葛「…翔はいない…」
雅「え?いないって…?」
葛「さっき飛び出していった…」
雅「え!?」
飛び出して…って、この雨の中!?
俺は翔ちゃんを探しに行こうとした…その時
葛「この写真見たか?」
雅「え?」
突然葛城さんから呼び止められ、あの写真を見せられた
雅「…はい…俺の所にも同じ物が…え?」
見ると翔ちゃんの顔はズタズタに切り裂かれていた
雅「なっ!?これ…!」
やっぱり…!翔ちゃんが危ない!
葛「君はこの写真を見て何も思わなかったのか?」
雅「何もって…どう考えても翔ちゃんが危ないでしょ!!何であなたは追いかけないんだ!!」
葛「…そっちじゃないんだがな…」
雅「は?」
…何言ってんだ?この人…
葛「…俺は翔が飛び出した時、一歩も動けなかったんだ…翔に『貴方の事愛していません』と言われてしまってな…」
雅「・・・」
葛「君はあの写真を見た時、俺に対して憎しみとかはなかったのか?」
雅「…初めて見た時はショックでした…翔ちゃんは葛城さんの事が好きなのかと…でも、本当にそうなら俺は祝福しないと…って思いました。翔ちゃんが幸せならそれで良いって…」
葛「…とんだお人好しだな…」
雅「え?」
葛「いや…悪いが翔を頼む…」
俺は翔ちゃんを探しに外に駆け出し車に飛び乗った