第75章 忘れられぬ想い(5)
葛「…どういう事なんだ?」
翔「今回はストーカー対策として、葛城さんご自身が同性愛者だから俺が恋人役をするとのご依頼でした…でも、ストーカー自身も同性の可能性がある以上、今回のご依頼は無意味ということになりますので…」
葛「無意味ではない!少なくとも俺は…!」
翔「…どういう意味ですか?」
葛「!」
俺の問いかけに、葛城さんは口を手で覆った
翔「…葛城さんのお気持ち嬉しく思いますが、以前もお伝えした通り、俺の気持ちは…」
葛「ダメだ!認めない!!」
翔「葛城さん…」
葛「依頼途中での契約破棄は認めない!翔…このまま…」
そう言って葛城さんは俺を抱き締めてきた
翔「葛城さん…これ以上俺達が恋人として動くことは、ストーカーの神経を逆撫でする事が予想されます…そうなると葛城さんご自身が危険な目に遭うかも…」
葛「そんな事構わない!お前といられるなら…」
そこまで俺の事を…
翔「ダメです葛城さん…もうこのまま…」
俺は葛城さんから離れようとしたけど、逆に強く抱き締められた
翔「か、葛城さん…離して…」
葛「…行かせない…何処にも…」
翔「え…んうっ!」
葛城さんは突然俺に口付けてきて、そのままソファに押し倒された
葛「愛してる…翔…」
翔「いやっ!止めて下さい…葛城さん!」
葛城さんは俺の言葉を聞くことなく、服の中に手を入れてきた
翔「や…止めてーーーっ!!」
<パーーーン!>
俺は葛城さんの頬を思いきり叩いていた
葛「…痛っ…」
翔「止めて下さい葛城さん!俺は…貴方の事愛していません!!」
葛「…っ!」
俺はそう叫んで葛城さんの部屋から降りしきる雨の中に飛び出した