第65章 ~番外編~追憶
その後、木元さんはまだ店の方があるからと言って帰っていった
身体が回復するまでは、仕事は休むように!って言って
俺は眠る翔兄さんの側で考えていた
今後の事…俺が出来る事を…
暫くそうしていると
翔「…ん…」
潤「!?翔兄さん!?」
翔兄さんが目を覚ました
翔「…え?潤?あれ?ここ…」
潤「病院だよ。翔兄さん仕事中に倒れたんだよ」
翔「え?そっか…って、何で潤がいるんだ?」
…いきなりそれかよ…
潤「…翔兄さん…言っとくけど、俺怒ってるんだからね?何で今まで黙ってたんだよ」
翔「え!?」
翔兄さんは俺が怒ってる事に驚いているようだった
潤「何でアルバイトの事、黙ってたんだよ。夜の11時まで仕事してたなんて…無茶もいいとこだよ!」
翔「あ…ご…ごめん…」
潤「何でそんな無茶したの?生活費の為に?」
翔「…やっぱり、高校生がアルバイトするだけじゃ、そんなに貰えないから…だから掛け持ちをしてたんだ」
やっぱりそう言う事か…
潤「…翔兄さん、保険金使おう」
翔「駄目だよ!それは今後の…」
潤「俺は翔兄さんに無理させてでも進学なんてしたくない。それから、俺もアルバイトするから」
翔「潤!」
潤「決めたんだ。俺、一流のシェフになりたい」
翔「え?」
潤「さっき木元さんがいて、ちょっと話したんだ。で、良かったらうちでバイトして調理の勉強してみないか?って言ってもらったんだ」
翔「木元マスターが?」
潤「うん、俺やってみたいんだ。だから兄さんも、バイトを減らして少しは自分の身体を労ってよ。父さん母さんも、兄さんにこんな無茶な事やってほしくないと思ってるはずだよ」
翔「…潤…」
父さん母さんが亡くなって、今まで気丈にしていた兄さんが、初めて泣いていた