第64章 家族になろう(10)
智「なぁ、星児、輝。何で嫌なんだ?俺はあのおじさんとおばさんと話をしたけど、優しそうでイイ人だったぞ?」
星「…だって、翔兄ちゃんと一緒に暮らせなくなるもん…」
輝「そんなの嫌だ!!」
輝はそう叫んで俺にしがみついた
智「そうだよな…翔兄ちゃんはお前達をここに連れてきてくれたもんな。翔兄ちゃんの事好きなんだろ?」
星「うん!」
翔「星児…」
智「翔兄ちゃんもお前達の事が大好きで、本当はずっと一緒に暮らしたいと思ってるんだ」
智くん…俺の気持ちわかってて…
星「本当?じゃあ何で俺達をあのおじさんとおばさんの子供にしようとするの?」
智「翔兄ちゃんはお前達が大好きだから、二人に幸せになってもらいたいから言ってるんだ」
星「え?」
智「翔兄ちゃんが、どんなにお前達の事が大好きでも、父ちゃんと母ちゃんにはなれない…今、お前達はそれでも良いかも知れないけど、将来きっと父ちゃん、母ちゃんが恋しくなってくる…そうならない為に、翔兄ちゃんはあの人達の所に行ってほしいって思ってるんだぞ?」
星「俺達のため…?」
智「そうだ」
智くんが言ってくれた言葉を星児は考えていた
翔「星児…輝…」
星「…何?」
翔「これが一生の別れじゃない…会いたくなったら来れば良いし、俺から会いに行っても良い…あの伯父さんと伯母さんは、決してお前達を不幸にするような事はしないから…」
星「・・・」
まだ小さな子供に、自分の一生を決めさせるのは酷な事だとは思うけど、これが二人の為になるんだと俺は自分に言い聞かせた