第59章 家族になろう(5)
雅「…何かあったのか?」
潤「あ、いや…ちょっと気になって…」
雅「気になる?」
潤「うん…その…出掛ける直前に翔兄さんに聞いたんだ。どこで誰と飲むのか…」
雅「翔ちゃん何て?」
潤「『相手は潤の知らない奴だよ。場所もまだ決めてないから、直接あって決めようと思って』って…」
翔ちゃんが場所も決めずに出掛けた?
雅「あの翔ちゃんに限って、場所も決めずに行くなんて妙だな…」
潤「そうなんだ…出掛ける時は、必ず場所を決めてからでないと出掛けない兄さんが、店も決めずに出掛けるなんて…」
雅「潤の知らない翔ちゃんの友達っているの?」
潤「うん…翔兄さん交遊関係広いから、高校時代は他校の友達もいたし…」
潤は話をしながら、俺の夕飯を準備してくれた
雅「翔ちゃん、何時頃出掛けた?」
潤「7時に待ち合わせだって言って、6時半頃出掛けた」
俺は時計を見ると、9時を回っていた
雅「…ホントに友達と飲んでるだけなら、まだ宵の口だろうけど…」
潤「…うん…」
雅「…電話はした?」
潤「一度…30分くらい前に、輝がグズるから翔兄さんの声を聞けば落ち着くかなって思って…」
雅「何か言ってた?」
潤「出なかったんだ…ずっとコールはしてたんだけど、暫くして留守電になった」
…何だろう…モヤモヤする…
雅「ちょっと俺もかけてみる」
そう言って俺はスマホを取りだし、翔ちゃんにかけてみた
<トゥルルル…トゥルルル…>
《お客様のお掛けになった…》
雅「…留守電になった…」
潤「雅紀兄さん…」
嫌な予感がする…早く帰って来て!翔ちゃん!!