第58章 家族になろう(4)
仕事を早々に切り上げ、俺は指定された店に来ていた
店内に入ると、店員が近づいてきたので待ち合わせだと伝えると、奥の席に案内されたが、そこには一人の男が座っていた
「よう、わりと早かったな」
翔「…あんたが星児と輝の…?」
…あの店員、何で俺だと解ったんだ?
不信に思いながらも、向かい側の席に座った
父親「とりあえずビールで良いか?」
翔「いや…俺は話に来ただけだ…用が済めば直ぐに帰る」
父親「まぁ、そう急がなくても良いじゃねーか。ビールくらい奢るぜ」
翔「俺はそんな話を聞きに来たんじゃない!用件を話せ!」
のらりくらりと話す男に、正直苛ついていた
父親「そう怒るなよ。折角の美人が台無しだぜ?」
翔「…用件がないなら俺は帰る」
父親「おっと!良いのか?このまま帰って。あの事を本当にバラすぜ?」
俺は立ち止まり、男を睨み付けた
父親「おー怖い。まぁ座れよ、ちゃんと話すからよ」
とりあえず、俺は座り直して話を聞く事にした
翔「…何が目的なんだ?」
父親「解りきった事だが、もちろん金だ。大野グループなんだから、1億くらい安いもんだろ」
…やっぱりな…
翔「…調べるんなら、ちゃんと確認するんだな…」
父親「…どういう意味だ?」
翔「確かにあの家にいるが、俺は大野グループとはなんの関係もない、全くの赤の他人だ」
父親「口から出任せを…」
翔「そう思うんなら確認してみろ。唯一関わりがあるのは、末弟の大野潤だけだが、俺とは異母兄弟だ。大野グループとは何の血縁関係もないし、俺はいずれあの家を出るつもりだったんだ」
そう話すと、男は予定が狂ったのか顔色を変えた