第58章 家族になろう(4)
翔「…どういったご用件ですか?」
父親『どういったご用件もないだろ。人の息子を誘拐しておいて』
翔「誘拐?何かの間違いでしょう…父親から暴力を受けて、家出してきた子供を保護はしてますが?」
父親『イヤに強気じゃないか…良いのか?そんな口をきいて』
翔「…どういう意味ですか?」
父親『俺が一言、大野グループ関係者に子供を誘拐されたって言ったらどうなるか…』
コイツ!こっちの事調べたのか!
翔「…何が目的なんだ…」
父親『話がわかるねぇー…とりあえず電話ではなんだから、午後7時《bar サルー》に来い。もちろん一人でな』
翔「…解った…」
そう言って相手は電話を切った
智『一人で抱え込もうとしないで、俺達を頼って良いんだよ』
…ごめん…智くん…
ああ言ってくれたけど、やっぱり俺のせいで皆に迷惑かけたくない…
<コンコン>
翔「!?あ、はい!」
潤「翔兄さん、コーヒー持ってきたよ。ちょっと休憩したら?」
翔「あ、潤…サンキュウ…」
潤「…どうしたの?翔兄さん…」
翔「え?」
潤「いや…なんか顔色が悪いから…何かさっき電話が入ってたみたいだけど、その事?」
翔「ああ…何でもないよ。また、雅紀に恋人役をしてもらいたいって依頼だったから…」
潤「ああ…そうなんだ。大変だね。モテる彼氏を持つと」
…事情を知ったら皆怒るかな…勝手なことしてって…
潤「…翔兄さん?」
翔「あ、ああ…何でもないよ。ホント大変だよ」
潤「…?」
翔「…潤…実はさっき、高校の時の友達から飲みに誘われたんだ。だから今日の晩飯、俺はいらないから」
潤「うん…解った…」
その日の夜、俺は指定された場所に向かった