第58章 家族になろう(4)
翔「予定が狂ったようだな…児童虐待のうえに恐喝罪…これ以上罪を重ねるのは止めるんだな」
俺はそのまま帰ろうと、席を立ち上がった
すると、男はニヤリと笑い
父親「残念ながら、俺は罪を重ねた覚えはないなー…」
この期に及んでまだそんな事を…
翔「あんた、まだ虐待の事実を認めないのか?こっちは病院の診断書も…」
父親「俺は何もしてねーよ。やったのは弟だ」
翔「!?」
弟だと!?
翔「どういう事だ!?さっき電話では…」
父親「あながち間違いじゃないぜ?弟が逮捕されて、子供を育てるのが無理なら、残る身内は俺しかいないからな。俺が養子として引き取れば、父親は俺だからな…あと、あんたが言ってた恐喝罪も物的証拠がないから、罪に問われる事はないんじゃないか?」
翔「…あんた、星児が暴力受けてたの知ってたのか?」
父親「だとしたら?」
翔「同じことだ!知ってて黙認していたなんて、虐待していた事と一緒だ!そんな所に二人を引き渡す事なんて出来るわけない!」
父親「そうか…そいつはこまったなー…」
そう言いながらも、その顔は困ってる感じではなかった
父親「じゃあ、あんたでも良いか…この器量ならオーナーもOK出すだろ」
翔「何の話…」
意味が解らず、問いただすと後ろに気配を感じて振り向こうとした途端
<ビビッ>
翔「ウッ!」
突然背中に電流を感じ、薄れ行く意識のなか後ろを見ると、さっき俺を案内した店員の男がスタンガンを持って立っていた
ーコイツら…グルだったのか…ー
俺はそのまま意識を手放した