第52章 この命に代えても…(6)
雅「実はあの犯人の男は、俺が見た取り引きとは全く関係なかったんだ」
翔「え?それって…」
智「もう一月くらい経つかな…K市であった銀行強盗覚えてる?」
一月前の銀行強盗…そういえばあったな…
翔「確か二人組の強盗犯だよね。未だ逃亡中の…」
智「あいつはその時の強盗犯だったんだ」
翔「え!?そうだったの!?」
雅「で、あの時俺は取り引きの方が強烈すぎて、違和感があった事忘れてたんだ」
違和感?
翔「何かあったのか?」
雅「…遺体」
翔「な!?」
何で取り引き現場に…!?
雅「実は、俺も全く気に止めてなかったんだけど、取り引きしていた奥に色々な機材が置いてあって、そこの陰から足が出てたんだ。その時はマネキンか何かとしか思わなかったんだけど、本当はあれ遺体だったんだ」
翔「どういう事?何でそれが取り引きと関係ないって…」
智「調べによると、銀行強盗犯はあの日仲間割れをしたらしいんだ。で、相棒を殺した所に運悪く別の男達が取り引きを始めて、終わるのを待っていたら雅紀に目撃されたって事らしいんだ」
翔「取り引きしていた男達にはその遺体は見つからなかったの?」
雅「うん。角度的に見えない所だったから」
はぁー…てっきり取り引き現場を見た事での口封じだと思ってた…
和「まぁ、危険な物を見た事に変わりありませんけどね」
翔「取り引きしていた男達は雅紀の事狙っては来ないかな…?」
潤「多分、大丈夫だと思うよ。向こうは雅紀兄さんに気づかずに犬の大地しか確認してないから」
そういえばそうだな…