第30章 偽装親子(4)
翌朝、俺と潤くんはお父さんの部屋に来ていた
<コンコン>
しかし何度ノックをしても、中から返事がなかった
潤「まだお休み中なのかな…?」
ドアを開けて中に入るとお父さんは寝ているようだった
潤「…まだ寝てるようだな…後でまた…」
俺は気になって側に近づいて、そっと手にふれた
するとまるで氷のように冷たくなっていた
和「…起きて…起きて下さい…」
潤「お、おい和!お前…」
潤くんが止めるのも無視して、俺はお父さんを起こそうと身体を揺さぶった
和「駄目です!まだ香住さんが戻っていないのに、会わずに逝くなんて…駄目です!!」
潤くんも異変に気づき電話をとった
潤「柏木さん!すぐ先生をつれて来て下さい!」
和「お父さん!お父さん!!」
俺は泣きながらお父さんを揺さぶったけど、眼を開けなかった
やがて外から足音が近づいてきたので、潤くんがお父さんから俺を引き離した
ドアを開けて柏木さんと主治医が駆け寄り、脈と瞳孔を確認して
主治医「…ご臨終です」
と言った…
柏木さんや使用人の人達は皆泣き崩れていた
潤「和…よく頑張ったな…」
と潤くんは小声で囁き、抱き締めてくれた
そんな潤くんの胸の中で、俺は声を殺して泣いた…
たった三日の親子だったけど、『松山辰己』さんは本当のお父さんのように暖かい人だった…