第30章 偽装親子(4)
~和也side~
潤くんが翔兄さんを探しに行き、俺は潤くんが戻るまで部屋に戻っていようと中に入って、ドアを閉めようとした
幹「おっと」
ドアを捕まれて驚いて見ると、幹矢さんが中に入ってきた
そして、俺の腕をつかみベットに押し倒された
幹「やっと邪魔者が消えたよ」
こいつ!俺から潤くんを引き離すためにあんな事を…!
幹「香住ちゃん…君は忘れたかも知れないけど、俺はずっと君の事を想ってたんだ…」
そう言いながら顔を近づけてくるから、俺は自分の手で幹矢さんの肩を押した
すると幹矢さんは、俺の腕を頭上でひとまとめにした
幹「香住ちゃん…愛してるよ」
そう言って俺の上着の中に手を入れようとしてきた
ヤバイ!偽物とバレる!!
声が出せないので助けも呼べないから、抵抗しようと身体を動かしたけど、相手の方が体格的に勝ってるので、簡単に押さえつけられた
助けて…潤くん!
心の中で何度も潤くんの名前を呼び続けていたら
潤「和!!」
潤くんが助けに来てくれた…
潤くんは駆けつけて来て、俺から幹矢さんを引き離した
幹「お前…何で…兄貴を探しに行ったんじゃ」
潤「…途中で兄さんの恋人が来たから任せてきたんだ」
それって…雅紀兄さん?
潤「和…大丈夫か?」
潤くんは恐怖で震える俺を優しく抱き締めてくれた
幹「…かず?」
潤「…香住さんの名前が解らなかったから、そう呼んでいただけだ…香住さんが怯えてる…出ていけ!」
幹「…ちっ」
幹矢さんは舌打ちをし、部屋を後にした
潤「和…すまない。お前を一人にしたばかりに…」
和「いいえ…こちらこそ、助けてくれてありがとうございます…」
顔を上げて潤くんを見ると、何故かあわてて
潤「あ、当たり前だろ?和は大事な『兄貴』なんだから」
兄貴…そうか…そうだよね…
この時俺は、何故か心が締め付けられるような想いだった…