第30章 偽装親子(4)
数時間後、俺は大野の家に電話をしていた
翔『そうか…香住さんは間に合わなかったのか…和也…御苦労様…柏木さんに言って帰っておいで』
和「はい…」
俺と潤くんは依頼終了を告げるため、柏木さんの所に向かっていた…すると、書斎から物音がして中から話し声が聞こえてきた
不審に思い中に入ると、貝塚登紀子と松山幹次郎がなにやら探しているようだった
潤「…何をしているんですか?」
登「え!?あ、べ、別に何も!ね、ねえ幹次郎」
幹次「そそ、そうだよ!」
…明らかに動揺してる…一体何を…
すると奥から
初「ママー!遺言書なんてないわよー!」
登「は、初美!」
初「え?あ!!」
・・・遺言書?
潤「遺言書なんて探してどうするんですか?」
新「バレたんならしょうがないんじゃない?」
幹次「新!?」
新「遺言書が公表される前に探し出して、中を確認しようとしてるんだよ。もし、全財産を香住に渡すってなってた時は、何とか理由を作って相続破棄させようとしたんだよ」
潤「あんた達、辰己さんが亡くなって間もないのに…」
俺は潤くんを止めた
潤「和?」
和「…ふざけんなよ」
登「え?か、香住?あなた声が…」
俺はウィッグをつかみ投げつけた
和「俺は香住さんじゃない!柏木さんに依頼されて香住さんのフリをしていただけだ!」
幹次「じ、じゃあ香住はまだ…」
和「今俺の兄弟が探している…でも、こんなところにたった一人香住さんを置いておけるか!」
潤「和…」
和「お前ら汚ねぇよ!たった一人の兄さんだろ!?悲しみって感情はないのかよ!!…辰己さん…かわいそうだろ…」
俺は叫びながら涙を流していた
潤「…俺達は死期が近い辰己さんが、香住さんに会いたいと言っているため、香住さんのフリをして欲しいとの依頼を受けました…その依頼は終了したのでこれで失礼します…和…行こう」
俺は潤くんに支えられながら、屋敷を後にした