第28章 偽装親子(2)
車から降り、お屋敷に入ると使用人の方々が数名出迎えてきた
使①「お嬢様!お帰りなさいませ!」
使②「よくぞご無事で…」
やっぱり記憶喪失なら、いくら実家でも不安だよね…
そう思った俺は潤くんの後ろに隠れた
使③「…お嬢様…?」
使②「柏木さん…お嬢様は…」
柏「事故で記憶喪失になられたんだ。ショックで声も出せなくなっておられる」
使①「記憶喪失!?」
使③「それは…お辛かったでしょう…」
使用人の人達は皆、泣き崩れていた…
愛されてたんだな…香住さんって…
柏「…お嬢様…旦那様がお待ちです…」
柏木さんの案内で父親の所に向かおうとした時
「香住ちゃん!」
突然上から声をかけられた
柏「幹矢(みきや)様、お越しになられてたのですか?」
幹矢?確か香住さんのいとこだったな…
幹「当たり前でしょ?柏木さん。香住ちゃんが帰ってきたっていうのに…どうしたの?香住ちゃん」
俺が潤くんの後ろに隠れたままになっている事に、疑問を持った幹矢さんが近づいてきた
幹「…君は、誰?何で香住ちゃんと一緒にいるの?」
潤「…松本潤です。和…香住さんが事故に遭って倒れていたのを保護しました…」
松本…?ああ、そうか。大野の名前を出すと俺の存在がばれる可能性があるからか…
幹「そうなんだ!ありがとう!香住ちゃんが戻ってこれたのは君のおかげだよ!」
潤「…いえ…」
幹「じゃあ、香住ちゃん。伯父さんが待ってるよ。一緒に行こう」
俺は潤くんの後ろで首を左右にふった
幹「…香住ちゃん?」
柏「幹矢様…お嬢様は事故で記憶を失ってまして…話す事も出来なくなっております…」
幹「記憶喪失!?」
柏「はい…ですので旦那様の所には私がお連れ致します」
幹「…彼も連れていくの?」
何だ?突然幹矢さんの表情が変わった…?
柏「はい。松本様はお嬢様の恩人でございますので」
幹「…そう…」
その時、幹矢さんは潤くんに対して明らかに嫌悪感を抱いているようだった