第27章 偽装親子(1)
翔「行方不明になってどれくらいですか?」
柏「もう一月になります…その間お嬢様から連絡は一度もありません」
翔「警察には?」
柏「行きました。誘拐された可能性もありましたが、一度も身代金等の連絡がないのでその可能性はないと…それで、警察は家出ではないかと…」
お嬢様が家出?
翔「事件性はないんですか?」
柏「それが…お嬢様のカード、携帯、衣類数枚がなくなってました…その為、警察の方は家出であろうと…」
雅「携帯を持っていったんなら居場所わからないの?GPSとか…」
柏「わかりませんでした。電源が入っていないのか、こちらから連絡もできません」
なるほど…家出だから偽名を使って働いていると思ったのか…
翔「では、ご依頼はこの女性を探し出すという事ですか?」
柏「はい…あと、もうひとつお願いが…」
翔「何ですか?」
柏「先ほど間違えました和也様にお願いしたい事が…」
和也?いったい何を…
翔「和也は今外出してまして、宜しければ話だけでもお伺いいたしますが」
柏「和也様にお嬢様のフリをしていただきたいのです」
雅「和にお嬢様のフリ!?」
…って事は、和に女装しろって事か?…やるかな…アイツ…
翔「それは本人に確認をとってみないと解りませんが、何か事情があるんですか?」
柏「実は…旦那様は一年前から肺癌を患っておりまして、主治医から余命半年と宣告されておりました。お嬢様の献身的な看病のおかげか、余命宣告を越えてもお元気であられたのですが、お嬢様が行方不明になられて以降、旦那様の病状は思わしくなく、医師からここ数日が峠だと…」
それで和也にお嬢様のフリを…