第23章 本当の家族(3)
別に俺一人でも危ない事ないのに、何でああも反対するんだろ?俺って本当に信頼されてないのかな…(あ…なんかネガティブになってきた…)
ヤ「どうしたんだ?何か顔が暗いぞ?」
翔「え?あ、すみません。何でもないんです」
いけない、いけない!仕事中だった
ヤ「おっ!これうめーな!あんたが作ったのか?」
翔「いえ、弟です。俺は料理は苦手で、厨房にすら入れてもらえません」
ヤ「厨房に入れないってよっぽどだな…」
・・・さらにネガティブになった…
翔「それにしても舞台裏って凄いですね。俺初めて入りました」
ヤ「そっか?あ、あんまりアチコチさわるなよ。危ないから」
翔「はい。和也の演技はどうですか?俺、まだまともに見たことなくて」
ヤ「和か…あいつ良い演技するぜ。あの顔と演技がありゃいつでもトップ俳優としてやっていけるさ」
そっか…和也の夢が叶うのもそう遠くはなさそうだ…
翔「ご結婚はされてるんですか?」
ヤ「俺か?いや、してない」
翔「彼女はいないんですか?」
ヤ「残念ながら、今は仕事が恋人だよ」
翔「それだけ仕事に誇りを持ってるって事でしょ?立派ですよ。長澤さんは昔からこういった仕事を?」
ヤ「まあな。他に取り柄が…」
翔「・・・」
その時、明らかに『長澤泰士』の顔色が変わった
ヤ「…今、何て言った…?」
翔「やっぱり、あなたは長澤泰士さんですね?」
ヤ「てめえ!金融会社の回し者か!?」
翔「違っ…ぐっ…!」
長澤さんは俺の上に馬乗りになり、首を絞めてきた
ヤ「言え!お前らは何処まで俺の事をつかんでるんだ!!」
翔「うぐっ…う…」
だめだ…俺…このまま死ぬのかな…
雅紀…ごめん…な…
雅「翔ちゃん!!」
薄れ行く意識の中、微かに雅紀の声を聞いた…