第22章 本当の家族(2)
俺達はとりあえず、今日は使われる予定のない衣装部屋に来ていた
和「潤くん…」
潤「ん?」
和「何故雅紀兄さん絡みと思ったんですか?」
潤「あ、やっぱそっか。確証はなかったんだけどな」
しまった…
潤「で?何があったんだ?」
…話しても良いけど、翔兄さんの事も話さないといけないし…翔兄さんの事が好きな潤くんに聞かせるのは…
どうしようか悩んでいたら…
潤「話したくないなら無理には聞かないよ。ただ我満だけはするなよ」
和「我満って…?」
潤「…泣きたいのを我満してる…」
…え!?
潤「朝からずっと泣きそうな顔してた…雅紀兄さんを見てる時は特に…」
和「潤…くん…」
そう言って潤くんは俺を自分の胸に抱き寄せて
潤「泣きたい時は泣いて良いんだよ…俺で良ければ側にいてやるから」
和「…ふ…うぅ…」
俺は潤くんの胸にすがり付き、声を殺して泣いた…
そんな俺を潤くんは優しく抱き締めてくれた
この時、ふと頭の片隅に『なんで雅紀兄さんじゃなくて潤くんを好きにならなかったんだろう…そうすればこんなツラい思いしなくて良かったのに』という想いがよぎった…
ひとしきり泣いたその後、潤くんは俺の話を最後まで聞いてくれた
潤「そっか…」
和「ショックじゃないんですか?」
潤「んー、ショックだけど…何ていうのかな…気持ち的には大好きな兄さんに恋人ができてさびしいっていう想いだな…」
あれ?潤くんの翔兄さんに対しての感情が恋愛から家族に対しての気持ちになってる?
心境の変化があったのかと思い、顔をあげ潤くんを見ると顔が近づいてきて…
和「!?…ん…」
突然ふれるだけのキスをされていた…
和「あ、あの…潤くん…?」
潤「ごめん!」
そう叫んで潤くんは衣装部屋を飛び出し、残された俺は潤くんの意図がわからないまま、ふれた唇にそっと手をあてた…