第8章 Terminar
ー翔sideー
「潤遅いな…」
時計を見ると既に日付は変わっていて。
スマホを確認しても潤からの連絡は無かった。
グイッと缶ビール残りを流し込み、立ち上がる。
潤の言葉に答えられなかった日から俺達は普通に兄弟として接してきたけれど、やっぱりどこかぎこちなくて。
それでも、潤が隣に居る事が楽しくて、少しずつこの空間に幸せを感じていた。
実家に居た時の様に…またキスをしたら、潤は怒るだろうか。
「もう寝ようかな…」
週末だから潤とゆっくり宅飲みでもしようかと思ったけれど居ないんじゃつまらない。
ツマミの袋を片付け、風呂に入ろうとした時、玄関の鍵が開いた。
「潤?」
玄関に向かうと潤が扉にもたれる様にして入って来る。
「おかえり潤。どうした?」
潤「ただいま…ごめん」
潤の顔色が悪い。
「何?」
潤「ごめん…トイレ」
俺を押し退け、トイレに急ぐ潤。
「大丈夫か?」
扉越しに聞いても返事は無く、代わりに呻き声が聞こえる。
「お前…またお腹下したのか?」
あいつ、お腹弱いのか。
そう思った俺は潤がトイレに籠ってる間に薬とお風呂の準備をしようと離れた。