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CRIME【気象系BL小説】

第10章 Melhor amigo


「やっぱり出ない」


何度目かの電話の後、俺はコーヒーカップを置いて立ち上がった。


潤も雅紀も。
度重なる俺からの着信に何の応答もしなかった。
念の為、雅紀の後輩の藤井に連絡を取って貰っても応答はないみたいだ。
俺だけ避けてる訳じゃない…。


午前10時。
有給取っていたとしても家に居るなら起きてるだろう。
俺はシャツの上から上着を着ながら玄関に向かった。


「え…」


そのタイミングで響くインターホンの音。


「………潤…?」


もしかしたら雅紀かもしれない。
俺はモニターで確認する事もなく、玄関に走り、急いで扉を開けた。


「………え…?」


「………久し振り。元気にしてた?」


「何で…?」


扉の向こうで微笑むその人は。


「先生…何で…」


「もう先生じゃないだろ」


俺の…初めての男。
そして…今は…。


和「いつになったら『お父さん』て呼んでくれるんだか。まぁ…難しいか」


「何でここに…」


「陽子さんがまた発狂してる。それで『あんたに人生を壊される』って。だからね…止めて来いってさ」


当たり前の様に。
初めて来る俺の部屋に先生は靴を脱いで上がろうとする。


「ちょっと何してんの」


「何って…息子の部屋に上がろうとして何が悪いの?」


「息子って…」


「それとも…初めての味がまだ忘れられない?」


「ちょっ…」


彼の小柄な身体が俺を壁に押し付けて来る。


あの時は…まだ俺の方が小さかったのに。


「2人きりの時は名前で呼んでいいよ」


「知らない…」


「呼べよ…初めて男知ったあの日みたいに」


口角を上げながら…義理の父親、和也の顔がゆったりと近付いて来た。
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