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CRIME【気象系BL小説】

第7章 Pântano


時計を見ると…もう既に2時を回っていた。
布団に入っていくらか経つのになかなか寝付けなくて、何度目かの寝返りを打った。


眠れない理由は分かってる。


「潤…」


壁の向こう側で眠っている弟の事を思い出した。


昨日の夜、潤と抱き合って眠った事があまりにも気持ちよくて…。


枕を抱き締めてまた寝返りを打った。


潤との仲がずっとギクシャクしてた。
でも…実家に行ってからそんな事は忘れていた。


出逢った日、恋愛に性別はないと言い切った潤。
俺の誘いを受け入れ、抱いてくれた潤。
兄弟だと分かって…過ちだと…思った。


なのに時折思い出すあの日の…バルセロナでの出来事。


あんな夜…もう一生味わえない。


潤だからだとしたら?


でも潤は弟。
血の繋がった弟。


分かってる。
愛しちゃいけない。


それに…俺の心の中に居るもう1人の男。


逢えば必ず俺を求めてくる彼。


俺はどうして…望まれない恋愛ばかりしてるんだろ。


この沼から抜け出したいのに。


弟に惹かれてしまう沼。
智くんと関係を続けてしまう沼。


「潤…」


壁に向かってポツリと呟いた。


コンコン…壁を叩いてみる。


こんな事しても潤は寝てるのに。


諦めて布団を被る。


………コンコン
微かに聞こえた気がする。


「………潤…?」


もう一度。
コンコンと壁を叩く。


………コンコン


「潤…」


考える前に身体が動く。


俺はベッドを降りて部屋を出て行った。
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