第7章 Pântano
「本当にお世話になりました」
父「気を付けて帰るんだぞ」
「うん。ありがとう。松岡さんお世話になりました」
松岡「実家なんだから気にしなくていい。それに良かったら下の名前で呼んで欲しいな」
「はい。じゃあ…昌さん」
松岡さんが嬉しそうに笑う。
父「帰ったら連絡してくれ」
「うん。あのさ…父さん昌さん」
父「どうした?」
「ちょくちょく来ても…いいかな?」
ここが居心地が良過ぎて…つい言ってしまった。
松岡「さっきも言ったけど実家なんだから遠慮しなくていいよ」
父「そうだ。事前連絡なんていらないぞ。帰りたい時に帰ってくればいい」
「ありがとう。じゃあ…お言葉に甘えます」
松岡「うん」
潤「じゃあ…帰ろうか」
車に乗り込み、エンジンを掛ける。
「じゃあまた」
父さんと昌さんが手を振る。
見えなくなるまでずっと…手を振ってくれた。
「潤」
潤「んー?」
潤がゆっくりと伸びをする。
「ありがとう」
潤「何?」
「何で急に実家に連れて行くんだろうと思ったけど…ありがとう」
潤「俺が帰りたかっただけだよ」
伸びをしたまま目を閉じる潤。
素直じゃないなぁ、なんて思いながら俺は車を走らせた。