第7章 Pântano
「父さん…ちょっといいかな」
朝食の後、父さんの入れてくれたコーヒーを飲み、一息付いたところで俺が口を開く。
父「どうした?」
新聞を読んでいた父さんが顔を上げる。
「大事な話があるんだ」
「うん」
隣に居た松岡さんが立ち上がり、リビングを出ようとする。
「松岡さんも居て下さい」
松岡「でも…いいのかい?」
「松岡さんにも聞いて欲しい。それに…父のパートナーなら俺の家族ですから」
松岡「翔くん…」
瞳を潤ませながら松岡さんが座り直した。
父「翔。ありがとう」
父さんと松岡さんが頭を下げる。
「ううん。それでね…話なんだけど」
父「うん」
「………父さんがカミングアウトしてくれて…驚いたけど嬉しかった。言いにくい事言ってくれて感謝してる」
父「そう言ってくれてありがとう。普通は簡単に受け入れられない事なのに」
「………受け入れる事が出来たのには…理由があるんだ」
父「………理由?」
頷くと…父さんと松岡さんが顔を見合わせる。
父「翔…まさかとは思うが…」
「うん。俺も…ゲイなんだ」
潤「………」
父さんと松岡さんがジッと俺を見つめた。