第7章 Pântano
「すみません…急にお仕掛けて来たのに泊まってしまって…」
父「むしろ嬉しいよ。翔がうちに泊まるなんて…潤とこうして並んで寝るなんて夢にも思わなかった」
潤「ほら、何か照れ臭いから早く寝てよ。もうこんな時間だし」
父「そうだな。じゃあまた明日。おやすみ」
松岡「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
潤「おやすみ」
潤に急かされる様に2人は部屋を出て行った。
夕飯の後、昔話に花を咲かせる様に俺達の会話は盛り上がった。
今までの時間を埋める様に…沢山話をした。
お酒も沢山飲んだ。
時刻はもう3時半。
潤はベッドの中。
俺は下に敷かれた布団に潜り込んだ。
「ここで…育ったんだな…潤は」
潤「うん」
「………ちょっと思い出した。イタリアで逢った時に潤が俺に言った言葉」
潤「何?」
「人を好きになるのに性別は関係ないって」
潤「言った…かな?」
「………こういう環境で育ったからだったんだな。俺は…自分がおかしいんだってずっと思ってた」
潤「………」
「俺もここで育ちたかった…」
潤「………兄さん。こっちにおいで」
「え?」
潤「兄弟って一緒の布団で寝るんだろ?」
「は?それはガキの時の話だろ?」
潤「でも俺達離れてた。だからさ…一緒に寝ようよ。ほら早く」
顔を上げると潤が布団を捲ってポンポンと敷布団を叩いてた。
「全く…馬鹿だなぁ」
でもそれが嬉しくて。
俺は促されるままに潤の隣に入り込む。
「………明日さ。父さん達に話すよ。俺の事。母さんの事」
潤「………そっか」
「………隣に…居てくれる?」
潤「もちろん」
「ありがと…潤」
潤の背中に手を回すと、ギュッと抱き締められる。
潤「………そんなにくっついていいの?」
「………いい」
顔を上げると潤も俺をジッと見ている。
ゆっくりと…潤の頬を包むと顔が近付いてくる。
そのままそっと…俺達は唇を重ねた。