第7章 Pântano
「付き…合ってる?」
父「母さんの事…本当に愛してた。じゃないと結婚したりしない。でも…彼は…昌宏は…」
松岡「俊さん」
松岡さんが父さんの手を握る。
松岡「僕のせいだよ。僕が俊さんの事既婚者と分かってて好きになってしまった。止められなかった。僕のせいで君達兄弟を引き離してしまった。本当に…ごめんなさい」
一緒に深く頭を下げられる。
「父さん…松岡さん…頭上げて下さい」
父「本当にすまなかった。でも分かって欲しい。昌宏だけが原因ではない。もうあの時…夫婦関係は…上手くいってなかった。昌宏とこうならなくても遅かれ早かれ陽子とは…別れていたと思う。そんな事言っても…ただの言い訳にしかならないが」
「そんな事ないよ」
父「翔…」
「正直に話してくれて…ありがとう。嬉しかったよ」
昌宏「翔くん…」
「3人の関係見て…家族ってもの初めて見た気がするよ。羨ましいです」
父「すまない…」
昌宏「翔くんも潤くんも両親を引き裂いた僕の事…恨まれても仕方ないのに。そんな温かい言葉…」
潤「恨むかよ。子供の俺を育ててくれたのは昌さんじゃんか。俺の為に仕事辞めて…暫く専業主夫して母親代わりしてくれた。ちゃんと愛してくれた。そんな人恨むわけない」
「専業主夫…してたんですか?」
潤「そうだよ。俺を引き取ったのはいいけど父さん何も出来ないから昌さんが俺を育てたんだ。俺の母さんは昌さん」
潤がきっぱりそう言うと松岡さんは嬉しそうに涙ぐんだ。
父「い、一応俺もやってたぞ。翔も居たんだし…」
松岡「お風呂だけね。オムツ替えも下手くそだったよ」
父「オムツ替えは奥が深いんだぞ!」
「ははっ」
2人を見て心から思った。
これが夫婦なんだと。家族なんだと。
家族に初めて触れた気がした。